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1081.報道比較2013.1.3

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朝日新聞・社説
高校生の皆さんへ―支え合いに取り組もう
現代社会の授業で「社会保障と税の一体改革」に関する社説に感想文を書いていただき、ありがとうございました。おととし12月28日付の「オトナはわかってる?」という社説でした。日本の政府が大きな借金をしていることを、そのツケを回される将来世代になりかわって嘆く内容でした。《大人は自分勝手だと文句をいうだけでなく「今の大人ができなかったこと」を考えることが、私たちにとって大切だ》日本では、税金で集めるお金より、国が使ったり配ったりするお金が多いので、つじつま合わせに借金をしてきました。でも、借金はいつまでも続けられない。消費税とか、税金を増やすのも簡単じゃない。一方で、介護や年金など社会保障を必要とするお年寄りはどんどん多くなる。「お任せ」は、もう限界みたい。そこから脱するために、まず社会保障がどうやって成り立つのか、考えてみる。人とのつながりがなくなるのが一番、不幸せじゃないかな。そこをなんとかする。人と人のつながりをつくっていく。《ああ、そんなことでいいんだ。ふだんからできそう》《一つひとつ直していけば、幸せな人が増えるのでは》《自分の身のまわりも国の一部なんだ、と気づきました》君たちが感想文に書いた、こんな「支え合いの思い」。これこそ、社会保障の土台です、としている。

こどもの方が、大人よりも良い答えを持っている。自分も含めて大人は猛省すべきで、いつでもこの反省とともに思考すべきだ。
世の中は、もっとシンプルでいい。大人の方が思慮という経験は多いように見えるが、考えていることの大半は私利私欲と利害の計算なのだろう。それが政治という、社会ではとても大切な機能で、プロフェッショナルが必要とされる世界なのだが、そこにもっとも必要な答えは、シンプルな正論。それがもっとも強い。
  
  
読売新聞・社説
習政権と日本 戦略的外交で「互損」の脱却を
富国強兵路線を突き進む中国が東アジア情勢を不安定化させている。同時に、中国は発展する巨大市場として日本の成長にも欠かせぬ存在だ。安倍政権は、戦略的な外交を展開し、中国の力まかせの膨張を牽制するとともに、国際協調に向かうよう中国に粘り強く促していくことが、課題となろう。国内総生産で日本を抜き、米国に迫ろうとする中国にとって、超大国への必須条件が「海洋強国」の実現である。強大な軍事力を背景に、資源や海上交通路(シーレーン)などの海洋権益を追求する姿勢は今後も強まるだろう。中国による日本製品の不買運動は対中投資機運に水を差した。中国の生産拠点としての魅力が薄れ、中国以外に活路を模索する動きが広がっている。日本だけでなく、自国経済も損害を受けていることを中国は認識すべきだ。日中両国は首脳交流を再開する必要がある。尖閣問題と、その他の政治、経済、文化関係を切り離すことで、戦略的互恵関係を維持していくことが重要である、としている。

このような強硬な主張が、もう成立しないほど、中国が日本を追い抜いていることを読売や産経は知るべきだろう。まだ勝てている部分をいくつか持っているというだけで、大半の勝負は中国が勝利している。もはや、我々が彼らに従うべき時代だ。
もし中国に改めて勝ちたいのなら、彼らがどのようにそれをどのように手にしたかを考えるべきだろう。彼らは努力した。学んだ。働いた。ずっと長い間。私たちに、それができるだろうか?
  
  
産経新聞・社説
日本経済再生 脱デフレへ歩み確かに 規制改革で民間に勢いつけよ
今年こそ、デフレ脱却と日本経済の再生に一歩踏み出せるのではないか。近年、これほど期待を持って迎えた新年はなかった。そういっても過言ではあるまい。その先頭に立っているのは5年3カ月ぶりに政権復帰を果たした安倍晋三首相だ。安倍氏は衆院選で、デフレ脱却と円高是正を最優先課題に掲げて「これまでとは次元の違う政策」を唱えた。自民党が大勝すると、首相就任前から矢継ぎ早に手を打った。日銀に物価目標の導入と大胆な金融緩和を促す一方で、思い切った財政出動の実施を表明する。さらに、復活した経済財政諮問会議と日本経済再生本部を経済政策の両輪とする構想を打ち出した。デフレ脱却とともに日本経済再生の鍵を握るのは実効性ある成長戦略の構築だ。規制改革、構造改革は、その起爆剤となる。資源小国で人口減による国内市場の縮小が顕在化している日本が貿易立国の旗を降ろせば国の衰亡につながる。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加は、貿易復活の前提条件である、としている。

日本経済新聞・社説
国力を高める(2) 富を生む民間の活力を引き出そう
物質的な豊かさだけでは幸せを感じられない――。そんな人たちが日本でも増えているのは確かだ。所得格差の拡大や原子力発電への不信感などが相まって、脱成長や反成長のムードすら漂う。2011年度の名目GDPはピーク時の1997年度を9%下回り、20年前とほぼ同じ水準にある。デフレや円高、少子高齢化などが響き、日本経済の地盤沈下は続く。成長は国力の源泉といってもいい。このままでは国民の生活のみならず、国の地位や安全を守るのも難しくなる。民間の力を引き出す経済改革を急ぎ、富を創出する基盤を固めなければならない。
第1の課題は海外の活力をどう取り込むかだ。アジアの潜在的な成長力は強く、米欧にもまだビジネスチャンスがある。海外への輸出や直接投資、証券投資で稼ぐ力と、海外の資金や人材を国内に呼び込む力をともに高めたい。
第2の課題は内需の掘り起こしである。少子高齢化が進む日本では、勤労世代が多く買う住宅や自動車、家電の市場が縮み、高齢者が求める医療・介護サービスの市場が広がりやすい。こうした「スペンディングウエーブ(支出の波)」への対応が試されている。
第3の課題は地方分権だ。公共事業ばらまき型の地域活性化には限界がある。戸堂康之東大教授は「地方の創意工夫を生かした特色ある発展を目指すべきだ」と話す。過剰な国の規制をなくし、地方に権限を移したい。ひもつきの国庫補助金を減らし、地方の自主財源を増やす必要もある。こうした改革が特産品を使った新産業の創出などにつながる。観光振興や企業誘致は地方の判断に委ねる方が効率的だし、自然エネルギーの事業化も地方でこそ生きる、としている。

産経はやけに明るく未来を見ている。日経は経済紙らしさがまったく見えない。どちらを読んでも、経済の答えは見つからない。そもそも判って書いている社説でもない。
この20年、日本がしてきたことに似ている。評論のような分析と政治への過剰な期待だけで、いつしか風が吹いたら春のように景気が良くなると思っていた。そして自身はひきこもっていった。20年前から変わったのは、自分の稼ぎが減ったことくらい。何も進歩していない。
そのドアから外に出て、行動すること。リスクを取ること。稼ぐためには、努力とともにそれが必要だが、社説でそう書いた新聞は、おそらく20年間、一紙もないだろう。
  
  
Wall Street Journal
世界各地で新年のお祝い-再生への期待を胸に (2013.1.2)
景気の先行きに不透明感が高まり、残酷な暴力は止まず、自然災害に見舞われた2012年。2013年の始まりに再生への期待が高まった。アルゼンチンの首都ブエノスアイレス在住のマティアス・デランノさん(37歳)は妻と3歳の息子とともにタイムズスクエアの中心に立っていた。デランノさんは深夜0時直前にさまざまな色の照明が広場を照らす様子を眺め、嬉しそうに笑った。「2013年には期待している。昨年は顧客を失った。昨年以上に悪くなるわけがない。誰にとっても厳しい年だった。2013年はこれまでよりよくなるはずだ」
ローマでは、ローマ法王ベネディクト16世が2012年への感謝と2013年への期待を込めて、大みそかにサンピエトロ大聖堂で夕べの祈りを捧げた。ローマ法王は世界は死や不正に満ちているが、善が勝利すると述べた。
ロシアの首都モスクワでは、大統領府が置かれるクレムリンの近くで花火が打ち上げられ、大勢の見物人が「赤の広場」に集まった。白い服を着て新年を迎える習慣があるブラジルでは、白い服を着た人々がリオデジャネイロのコパカバーナ・ビーチで開かれるコンサートに詰めかけた。
タイムズスクエアでは「財政の崖」をめぐる議会の暫定合意のニュースを携帯電話で確認する人の姿も見られた。2012年にはコネティカット州ニュータウンの小学校で起きた銃乱射事件で多くの犠牲者が出たことや巨大ハリケーン「サンディ」が大きな被害をもたらしたことも忘れられない。
ロンドンは湿った天気になることが多いが、この日は晴れ。時計台「ビッグベン」の鐘の音が2013年の到来を告げると、花火がパーラメント・スクエアの上空を照らした。ロンドンの名所が光に包まれると、観客から歓声が上がった。大観覧車ロンドン・アイからは紙テープが舞い、テムズ川の両岸でも花火が打ち上げられた、としている。

新年は、こういう記事から迎えたいものだ。
小難しい記事ばかりよりは、安楽の方が良い。人はそちらを求めて生きているはずなのに、いつしか、安楽のための準備に頭を痛めている。不思議だ。

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